市場原理からみるアグリゲーションサービスの理論と構造

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市場原理からみるアグリゲーションサービスの理論と構造

 

アグリゲーションサービスを運営していて、サービスについて考える中で面白いと思ったことを書き留めてみます。

 

「一次サービスが市場シェアを奪われてでもアグリゲーションサービスにデータを提供して低いCPAでトランザクションを補完することは、市場の支配戦略におけるナッシュ均衡」

この記事の結論となるこのテーマを、私の思考整理と備忘録のために軽く深堀ってまとめていきます。

この時点で「ああ、確かに」という方に用はないのでこの記事でも読んでいてください。→  信号の待ち時間は人生のロスタイム

 

具体的には、アグリゲーションサービスの市場の中でのポジショニング、存在し得る理由、事業構造についてです。

あくまで市場原理から見たアグリゲーションサービスの組成の理論なので、ビジネスモデルや戦略のお話は割愛します。

(その話はうちのサービスが伸びて証明できてからw)

 

 

1. インターネットでの市場の趨勢

 

ある市場がインターネットに乗り、インターネットの市場として成熟していくまでの流れからアグリゲーションサービスが成立し得る背景と市場原理の中での理論を考察してみます。

インターネットにある市場が乗るとき、まず一次情報 / 一次データ / 一次商材を扱うサービスが成立します。

(ここでは便宜上そのサービスを「一次サービス」と呼びます。)

インターネットに乗るものが商品であればそれはECサービスであり、情報, データであればメディアになります。

このレイヤーを担うのが、ホテルであれば楽天トラベルであり、求人情報であればリクナビであり、情報であればニュースメディア・キュレーションメディアです。

 

この一次情報を扱うEC的サービスがその市場に揃うと、次に複数のプラットフォームに散財する一次情報をまとめるアグリゲーションサービスが生まれます。

アグリゲーションサービスの勃興は、ある種インターネットにおけるその市場の成熟の表徴と言えます。

ホテルならTripadvisor、求人ならIndeed、情報ならグノシーです。

アグリゲーションサービスイメージ画像

宿泊予約市場の場合

 

 

2. 市場原理からみるアグリゲーションサービスの理論と構造

 

2-1. アグリゲーションサービスの疑問

 

多くの場合アグリゲーションが成立するためには、

①一次サービス群のデータを使用する

②トランザクションに対して一次サービスから収益を得る

ことが必要となります。

 

②に関しては、グノシーのようなアドネットワークのビジネスモデルは例外です。

成果報酬、CPCなどのモデルでマネタイズするオーソドックスなアグリゲーションのビジネスモデルのお話です。

 

一見すると、アグリゲーションサービスにデータを取られ、さらに金を払わせられるのだから、アグリゲーションサービスの成立を傍観するのは一次サービスにとって損に思われます。

ではなぜ一次サービスはデータを提供し、トランザクションに金を払ってまでアグリゲーションサービスを成立させるのか。

この答えはインターネットにおける市場原理にあります。

 

 

2-2. インターネットの市場原理とアグリゲーションのポジショニング

 

一般的にある競争市場において一つのサービスの市場シェアが一定の閾値を超えると利益率が逓減します。

市場シェアを取るにつれてCPAが高騰し現状の市場シェアの維持コストが嵩むのに対して、ARPUは早期に成長が鈍化するので、自ずとユーザーあたり利益率は低くなります。

SEOでトラフィックを作る初期グロース期とTV CMを打つフェーズとの利益率の差分は明らかで。

だから、王者になればなるほど、Booking.comのようにLTV同値までリスティングのCPAを踏んで流通だけを作る、みたいな戦略が必要になります。

特にメインのマーケティングチャネルが検索エンジンのサービスなら、検索結果の独占を嫌うGoogleの特性上上記の傾向はより顕著になります。

 

ここで、逓減した利益率を埋める新たな低CPAのトランザクションチャネルがアグリゲーションサービスです。

 

同じ対象市場にアグリゲーションサービスが台頭した時、一次サービスの選択肢は2つあります。

①データを提供せずトランザクションを切る

②データを提供しトランザクションを得る

それぞれについて少し検証してみます。

 

①データを提供せずトランザクションを切る場合

アグリゲーションサービスが生まれると、同じ市場のプレーヤーが増えることになるので相対的に市場シェアは縮小します。

だから、一見この①の選択は競合をブロックする効用があるように見えます。

しかし、アグリゲーションサービスはアグリゲーション故、一つの一次サービスにブロックされたところで他の一次サービスからデータを獲得して立ち上がります。

結果的に、アグリゲーションをブロックすることの効用は「アグリゲーションサービスが掲載するデータを減らす」ことに留まります。

それに対してアグリゲーションサービスは一定の市場シェアを獲得する上、競合の一次サービスはアグリゲーションサービスから低いCPAでトランザクションを獲得し、市場シェアを拡大します。

事実、中古車市場では株式会社じげんが提供する中古車EXというアグリゲーションサービスに対してCarsensorという一次サービスはデータの提供を解除しているのですが、中古車EXは激しく伸びています。

一つの一次サービスがアグリゲーションサービスをブロックしてもしなくても、一次サービスが被る不利益は同じということです。

(むしろブロックした方が不利益が大きい。)

 

②データを提供しトランザクションを得る場合

この場合、一次サービスは低いCPAでトランザクションを得るというメリットがあります。

デメリットは①の時と変わりません。

結論、一次サービスが市場シェアを奪われてでもアグリゲーションサービスにデータを提供して低いCPAでトランザクションを補完することは、

市場の支配戦略におけるナッシュ均衡ということのようです。

 

 

雑にまとめ

 

市場って面白いなと思いました。

これからだと動画のアグリゲーションとかがくるんじゃないかなと思っています。

僕もアグリゲーションという切り口で大市場に挑戦する身なので頑張っていきます。(自動車比較メディアSUNROOF

あと、比較メディアのSEOがとても面白いです。

 

さて、そろそろお時間がやって参りました。

それでは、THE BLUE HEARTSの「終わらない歌」でお別れしましょう。

DJアグリゲーションでした。

 

 

株式会社Telescope代表 山内遼

 

 

Telescope Inc.